業務活動歴

金尾俊郎 かなおとしろう(敏郎改め)1952年(昭和27年)福岡県生まれ 広告代理店勤務の後、家業(株)かなを(婦人服・寝具小売業)入社。同時に商店街活動を始める。地元商店街振興組合・理事、(協)市商店連合会・理事、スタンプ事業協同組合を設立、専務理事を経て独立。平成4年より福岡市にてコンサルタント業に従事。

■参加したシンポジウム■
  「全国スタンプサミット」にパネラーとして参加
  「大阪府商店街シンポジウム」にて基調講演
  「北陸三県商店街セミナー」にて基調講演
  「九州スタンプサミット」を企画・運営
  「スタンプフォーラムin山形」にて基調講演
  「長野県情報化講演会」にて基調講演
  「全国スタンプサミットin山中温泉」を企画・運営
  「近江スタンプサミット」を企画・運営
  「中国四国スタンプカードサミット」を企画・運営
                他十数回

■中小企業大学校 講義■
  
 東京校・旭川校・三条校・瀬戸校・関西校・直方校

■スタンプ(ポイントカード)事業・商品券の新規開始と再構築ま
 で継続的に指導した団体

  全国188団体(平成3年~27年)

■単発講演および支援をした団体
北海道から沖縄県まで45都道府県の市町村 約1550ヵ所
 延べ数千回   (平成3年~27年)

■中小企業基盤整備機構
  中心市街地商業活性化アドバイザー(18年)

■全国商店街支援センター
  商店街よろず相談アドバイザー
  商店街支援パートナー
  

スタンプカードで売上げが上がるか1995/7発表

 加盟店でありながらスタンプ・シールを出さない店の問題は、この事業の永遠の課題です。なぜ出さないのか?答えは簡単。出せば経費が増えるのは確実ですが、売り上げの上がる保証がないからです。この「保証」以上に説得力のある理論はないし、この問題がカード化によって解決するほど単純でないことも全国の商店街で実証済みです。
 とにかく、店は販促効果を実感しないとスタンプを出しません。出した経費の元を取れないとこの事業は続けられないのです。これは経営者として、むしろ正常な感覚ではないでしょうか。

◆スタンプ(カード)による販売促進効果◆

  非加盟店との差別化

 これは、どこで買っても同じ商品が同じ価格の場合に通用することで、価格破壊の時代には、その効果はさほど期待できません。そこで、現在は以下の考え方がこの事業の目標となりつつあります。

  消費者が買い得感を感じる

 企業スタンプや大型店のカードと異なり、地域スタンプ(カード)は、たとえば、出す側(店)の負担は2%であっても受け取る側(消費者)は、販促企画等を通じてそれ以上の価値で使う選択ができます。これが「等価交換単純値引き方式」である大型店等のカードとの違いです。もちろん、受け取った消費者が、すべて本来の価値より高く使えるわけではないけれど、熱心に集める人(お得意様)ほど有利になる仕組みになっています。
 このように、スタンプ(ポイント)の付加価値が認識されると、消費者は買い得感を感じ、「10%引き」より「8%引き+スタンプ(2%)」を選択してくれて、店には以下の結果がもたらされます。 

   利益率と売上げ額が同時に上がる

    1000円の10%引きは・・・・・・・・・・・・900円
    1000円の8%引き+スタンプ(2%)902円
   ⇒1000円の8%引きは920円 920円にはスタンプ9枚
    920円-スタンプ経費(2円X9枚=18円)=902円

 このように、値引きの一部とスタンプ(ポイント)を置き換えることによって、スタンプ(ポイント)経費を差し引いても2円の値引き損が軽減され、利益率が改善されるとともに2円高く売れるため、同時に売上げ額も上がります。すべてはこの基本の応用です。
 以上のような、消費者の顧客満足と地域商店の利益確保が両立できる仕組み、これが価格破壊の洗礼を受けたスタンプ(カード)事業の進化した姿なのです。
 そして、この事業を利用して地域商店が生き残ることは、その経営者のためだけではなく、迫り来る高齢社会において「無店舗地区をつくらない」という社会的使命であると言えます。
 

商店街カードの3つの錯覚  1996/4発表

 今春、全国屈指の有力商店街幹部から来た年賀状に、「ポイントカードが低迷しており、スタンプシールで出直してはという声があがり頭を痛めています」と書いてありました。その商店街は、1990年ごろ鳴り物入りで商店街カードを導入しています。ここのように地力のある商店街は、カードがうまくゆかなくても大勢に影響はないでしょうが、商店街が衰退して、再起をかけて商店街カードに取り組んで失敗した場合、多くのところは「命取り」になるかもしれません。
 実は、筆者の出身商店街も1992年に商店街カードを開始しています。前述の商店街とは異なり、スタンプ事業という下地があっての「カード化」でしたが、試行錯誤の状態に変わりはありません。
 消費者にはスマートで便利、店や商店街も管理がしやすい、言わば、良いことずくめのカードでなぜ成果が上がらないか。そこに「商店街カードの3つの錯覚」があったのではないかと、カード推進派だった自身の反省も含めて、今、筆者は考えています。

◆カード化の動機と錯覚◆

  スタンプシールの出し惜しみ対策

 カード化の動機は何といってもスタンプの出し惜しみ対策です。「お金とカードを一緒に出せば・・」という発想ですが、ここに第一の錯覚がありました。大型店のレジ係とお客との関係と異なり、一般商店の場合、店主や従業員とお客の人間関係で商売が成り立っています。そのため、お客が遠慮してカードを出しにくい。そこで「カードをお持ちですか?」という声かけ運動を実施しますが、出し惜しみをする店が声かけなどするはずがありません。声かけをしないでいて、「お客がカードを出さないから・・」という責任転嫁がおります。これが、「カード化によってスタンプの出し惜しみがなくなる」という机上論の結末です。スタンプシールにしてもカードのポイントにしても、店が販促効果を実感しないと出しません。この問題の解決に近道はないのです。

  若者対策

 カード化で、若いお客が増えるという考えも錯覚でした。確かに男性客や若年層でポイントをためるお客は増えます。しかし、これは、今まで買い物に来ていて、スタンプシールは貼るのが面倒だから要らないと言っていた人がためるようになることで、新規の若いお客が増えることではありません。これは、スタンプとかカード以前の問題です。

 顧客管理による商店街の情報化

 カード導入によって商店街も顧客情報管理を行い、それを販売促進につなげる。この発想が一番大きな錯覚でした。同業者も多い寄り合い所帯の商店街で、特定の店が全体で集めた顧客情報を活用することは、相当の合意形成(加盟店とともに顧客も)が必要です。しかも、従来から「顧客商売」に熱心な店にとっては、販売商品の詳細が把握できないような、中途半端な顧客情報では役に立たちません。これは本来個店でやるべきことのはずです。

 これが商店街カードの錯覚です。カード化の流れは止めようがありませんが、これらの問題を踏まえた上で、カードの利点を活かす創意工夫が必要です。
★以上は18年前の文章ですが、今でもまったく同じ発想を繰り返してはいませんか。(2015/2・追記)
 

スタンプ事業低迷の原因と打開策 2002/9発表

 全国のスタンプ会に伺っているうち、ある共通点が明確になってきました。それは、20年、30年とスタンプ発行実績を伸ばし続けてきたところのほとんどが、平成4年(1992年)を境に実績が低下し始めているという事実です。これは、景気低迷の直接的影響以上に、この時期、この事業にとって根底を揺るがすような問題が起こったことを意味します。
 このころ、バブル崩壊後の景気対策として、規制緩和が推進され価格破壊が起こりました。たとえば、ビールがどこで買っても同じ価格であれば、スタンプをもらえる酒店で買うのは当然ですが、これに価格差が出てくると、「スタンプによる非加盟店との差別化」という、この事業の目的の大原則が脆くも崩壊します。 
 当時は、筆者も含めて誰も指摘した人はいませんが、実は平成4年の時点でこの事業による販売促進効果は無きに等しくなっていたのです。これは、平成4年以降にスタンプ(カード)事業を開始した団体の中で際立った実績を上げているところが少ないことでもわかります。
 さらにこの後、事業低迷の原因もわからないまま、不振打開策として各地で「カード化」が推進され、問題がさらに複雑化しました。カードの原点であるスタンプシールによる差別化ができないのに、形だけカードに変えて成果があがるわけがありません。これは、今だから言えることで、今さら誰を責めることもできませんが・・・。

 このようにスタンプ事業低迷の原因は、価格破壊によってスタンプシールの「神通力」が効かなくなったことに加え、各業界で、カードやはんこによる「ポイント制」が急増し、商店街スタンプの独自性がなくなったことにあります。これが、スタンプ事業衰退の「外的要因」ならば、「内的要因」もあります。それは事業展開の方法が時流に合わなくなったということです。
 スタンプ事業といえば、昔から「イベントの魅力で消費者のスタンプ収集意欲を高める」という発想で事業を行なってきました。しかし、冷静に考えてみると回収台紙(消費者がためて使う台紙)の7割から8割は加盟店での買い物に使われているはずです。他方、イベントに使われる台紙は1割程度で、しかも、参加者はいつも同じ顔ぶれ。結果として、1割程度の台紙回収のために毎年多額のイベント経費を使っていたことになります。
 これは、加盟店にとってもスタンプ会にとっても、一番ありがたい大多数の「台紙を店で使うお客」に、回収差益分の損(お客は気がつかないだろうが)をさせ、一握りの特定のお客に高い率で還元するという社会的不公平ともいえる結果となっています。これを正すこと。つまり、イベントの方向性の見直しが21世紀のスタンプ(カード)事業の大きな課題であり、これが事業低迷の打開策となります。
 そのために、事業の再構築(リニューアル)を行います。これは、システムの見直し(単価/貼付枚数/消費者還元率)、事業の見直し(事業展開の方法)、財務体質の見直し等を4~6ヶ月で行い再スタートすることです。この間に、会員の啓蒙活動と新規会員の勧誘も同時に行います。 

これからどうなるスタンプ事業 2006/3発表

 全国でスタンプ(カード)事業の低迷が続いており、事業活動を停止するところも出ています。今後の、この事業の在り方を各地の実例により検証してみましょう。
 平成17年11月に某スタンプ会が解散しました。その二ヵ月ほど前にその中の一加盟店(酒店)から、「スタンプ会は解散するが、お得意さんに対して申し訳ないし当店もスタンプがなくなると困るので、はんこで個店スタンプを始めたい」という相談がありました。お店に伺ってみると、近くで食料品の移動販売をしている店主も来ており、検討の結果、共通の紙カードを作り、それぞれの「はんこ」で満点になったものが、どちらの店でも買物に使えることになりました。そして、開始はスタンプ会解散の翌日と決定。この二人の女性経営者によると、同じ意向を持つ店主が数名おり、「将来、第二スタンプ会に・・・」ということで盛り上がりました。
 全国的な加盟店減少傾向の中では、大阪十三の「どんとこいスタンプ」の健闘が光ります。かつての約70店が現在12店となるも、スタンプ発行高1300万円、回収差益率も15年前の16.6%のままで十分運営できています。安定経営の要因は、加盟店減少により、逆にやる気のある有志だけが残り、事務局を置かずに皆で役割分担して運営するという、徹底した低コスト運営システムが確立されていることです。さらに、価格にシビアな大阪のこと、例えば店頭で「1割引きするところをスタンプ3倍(6%引きに相当する経費)進呈を恒常的に全店が実施」しており、その結果、前記のような実績を残しています。「自分達のことは自分達で」という精神と「価格破壊の時代のスタンプは、おまけではなく値引き対策」という理論に裏打ちされたスタンプ事業なのです。
 今、各地で様々な理由により、消費者還元率を1%に下げるスタンプ会が増えています。北海道の斜里ポテト協同組合は、平成6年に財政改善のため、加盟店負担2%のままで消費者還元1%に踏み切りました。1ポイント2円で200ポイントで200円の還元という仕組みです。近年、各地で500枚で500円、300枚で300円、200枚で200円等の1%還元が特に目立つようになりました。スタンプ単価が2円の場合、回収差益率は50%で、どのスタンプ会も財政危機は2年程度で克服され、次のステップへ踏み出しています。一方、弘前市の土手町商店街振興組合連合会のように、財政問題とは別に地場の中三百貨店に食料品や特価品にもスタンプ(ポイント)を出してもらうという目的で、平成12年に全加盟店一律に2%負担を1.3%に下げ、1%還元に踏み切ったところもあります。   
 いずれの場合も、還元率低下による消費者の反応が一番気がかりなところですが、むしろ、大型店やチエーン店の1%還元が定着しており各地の実例を見ると、これに踏み切っても意外とクレームは少ないようです。それでも、①早くたまる台紙、②旧台紙より特典を多くする、などして、大型店等との差別化や消費者対策には万全を期する必要があります。この場合、システム全体としては還元率が下がるが、熱心にスタンプを集めているお得意様には、今まで以上に有利になるようにという信念を持って取り組むことが肝要です。

 

スタンプ(カード)の問題解決

加盟店でありながらスタンプを出さない スタンプ事業永遠の課題です。そのために講演会が開催されますが、単発の講演会では効果はあまり期待できません。(講師が言うんだから間違いない。)スタンプを出さない店主は講演会に出て来ないからです。かりに来ても、一度や二度よその事例を聞いたぐらいでは納得しません。出さない人は、それなりの信念があります。「信念」とは何ですか。それは「損得」です。商売人ですからスタンプ効果を実感すれば出すようになります。本当は、スタンプというものは出す時点の効果が大きいのですが、これはお店の側には見えにくい。ところが、台紙が買い物代金として戻ってくればスタンプ効果は歴然です。これは、本来、現金で買われるはずのものが台紙に変わっただけであっても嬉しいものです。ですから、役員会等で、お店に台紙が返ってくる仕組み(イベント)作りをすることが問題解決につながります。また、出したスタンプ経費の元が取れる業種別活用法の啓蒙活動も有効です。スタンプは「意識」ではなく「損得」で出すものです。
特価品にスタンプを出さない 昔(平成4年以前)のスタンプは「おまけ」でした。ところが、「おまけで固定客化」は「一物一価・常時定価販売」の場合に通用することで、価格破壊の時代にはその神通力には期待できません。現在は、「おまけ」ではなく「値引き対策」なのです。別の言い方をすると、共同事業であるスタンプに、値引きに匹敵する価値を持たせて、個店ではできない、顧客満足と利益確保を両立させるのです。「スタンプを出すことで利益率は下がるが売り上げが上がる(かも)」という考え方は、今は成り立たちにくく、「値引きの一部とスタンプを置き換えることによって利益率を上げる」という取り組み方をしないとスタンプ経費の元は取れません。このように考えると、特価品にスタンプ(ポイント)を付けることこそ、この事業の「奥義」と言っても過言ではありません。特価品にも付けなくてはいけません。ただし、目いっぱい値引きしてその上スタンプは付けられません。だから、値引きの一部をスタンプと置き換えるのです。
高額商品にスタンプを出さない 一般的に高額商品は値引きが「付き物」で、値引きをしたものにはスタンプ(ポイント)が「付かないもの」という身勝手な「常識」もあります。これは、「定価に付けるが特価には付けない」という発想で、スタンプ(ポイント)を「おまけ」と認識している証拠。「おまけで差別化」といわれたスタンプが「価格破壊」によってその効力が薄れ、今日では、これを「値引きに匹敵する価値」ととらえ、「値引きの一部とスタンプ(ポイント)を置き換える」ことが一般的になりました。値引き率とスタンプの倍率の相関表を作って、たとえば、「二割引するところを、一割引にするとスタンプ(ポイント)何倍まで付けられるか」ということを計算し、スタンプ(ポイント)経費を差し引いても二割引より値引き損が少なくなるようにします。金額だけで考えると、誰でも安いほうがいいに決まっている。そこにスタンプ(ポイント)を組み込むことによって、顧客満足と利益確保の両立を目指す。「値引きがいいですか?それともスタンプ?」は全く論外。 
スタンプ(ポイント)は「納得料」という考え方 価格破壊の時代のスタンプ(ポイント)の役割を「納得料」と考えると、この事業の今後の方向性が見えてきます。同じ商品であれば誰でも安く買いたい。そのため、安い店を探して歩く。ここが安いと思って買って、後日、もっと安い店があれば落胆します。そして落胆が怒りに変わる。たまたま、その商品だけが高かったのであっても、この場合、消費者心理として、他のものまで高いような気がして二度と来店しません。このようなとき、店がお金に匹敵するスタンプやポイントを付けていれば、多少高買いしていても納得できるというものです。だから、スタンプ(ポイント)は「納得料」なのです。また、店にとっても、自店より安く売っている店があると、すでに買ってくれたお客の気持ちを考えると心中穏やかではない。この場合も、スタンプ(ポイント)を付けていたことが「安心料」になるわけです。「価格破壊」によって、「おまけ」だったものが、「納得料」や「安心料」に変身したのです。
スタンプのイベントは何のためにやるのか スタンプ(カード)のイベントの目的は三つ。第一は、スタンプ(ポイント)の価値を高めること、次に加盟店の利用を増やす、そして、新しいスタンプ(カード)フアンを増やすことです。よく行われる「招待系の企画」も、単に、「そのイベントに参加したいから加盟店で買物をする」ということより、「本来、○○円の価値のものが、2倍、3倍の価値で使える」という、スタンプ(ポイント)の価値を高めるためと考えるべきでしょう。二番目は当然のことで、最後の、「スタンプ(カード)フアンを増やす」というのは、この事業は新しいフアンを増やし続けてゆかないとジリ貧になるという性質のものだからです。そして、この三つの目的が達成されるとスタンプ(ポイント)の発行高が増加します。ただし、このような時代ですから、前年並みでもイベント効果があったと見なくてはなりません。イベントの参加者が多いか少ないかで一喜一憂しないで、年間を通して、最終の数字で冷静に成否を判断 すべきです。  
ポイント制における「直接販促」と「間接販促」 スタンプ(カード)による販売促進には、「直接販促」と「間接販促」があります。前者は、スタンプやポイントの発行と回収に伴う一連の業務による直接的効果。たとえば、3倍セールで売り上げ増とか、高額回収や倍出し回収(いずれも、ためたスタンプやポイントが有利に使える企画)で新規客が増えたとか。一方、後者はスタンプやポイントの進呈により顧客情報を集め、それによって、販売促進を目指すという考え方です。そのため、以前(平成3年頃)は、「ポイントは顧客情報収集のためのおまけ」などという極論まで登場したほどでした。このような発想ですと、顧客情報を集めただけで自己満足してしまうものです。商売は、「売れていくら」「儲かってなんぼ」。「2割の優良顧客が・・・」というのは、あくまでも個店や企業単位の発想であり、商店街等の組織で成果をあげたという話は聞いたことがありません。この事業に取り組むとき、冷静に、そして客観的に、「直接販促」と「間接販促」のどちらに主眼を置くのかを判断する必要があります。
大型店のカードとどこが違うのか 大型店やチエ-ン店で、これだけ「ポイント制」が盛んになると、消費者は商店街等のスタンプとそれらの区別が付かなくなり、これが共同事業であるスタンプ(カード)の独自性の消滅と事業の衰退につながってきます。大型店等のカードは個店のカードやはんこと仕組みは同じで、「出すときは経費がかからず、回収が値引き」となるが、共同事業のスタンプ(カード)は、「最初に経費がかかるが、回収は売り上げ」となります。この、「回収が値引きか売り上げか」の違いは大きく、大型店等では3倍、5倍、5%、10%とポイントを出す企画ばかりで「回収」を促進する企画を行っていません。回収すればするほど値引が増えるからです。これが、大型店等のカードの弱点であり、共同事業のスタンプ(カード)との相違点です。この違いを認識した事業展開で差別化をはかります。また、スタンプ(ポイント)にかけた経費と考えられているものが、本当に「経費」として計上できるのか、単なる「値引き損」なのかという問題もあります。
烏山方式とは何だったか 「烏山方式スタンプ」は、「イベントの魅力でスタンプの付加価値を高める」ものと考えられていますが、厳密には「昭和55年の法人税基本通達に則った税務処理を行い、課税対象となる利益を消費者に還元してスタンプの付加価値を高める」というのが正確で、むやみに、イベントに金をかけるというものではありません。その認識がないと、右肩下がりに状態になったとき、事業運営が厳しくなります。また、「回収差益を設定する」というのは、1枚2円のスタンプが350枚貼られた、本来700円の台紙を500円で回収したとき、200円の回収差益が残り、これを組織運営の基礎とする考え方です。このとき、加盟店に対して回収差益分は「お客に余分に貼ってもらう」という表現で店の負担感を少なくするイメージ付けをしています。一方、烏山方式以前のスタンプは、この「回収差益」を「手数料」という名目で別に徴収する形となるため負担感はあるものの、消費者還元額が明確になります。今後、両者の利点の組み合わせが重要となります。
スタンプ(カード)事業の広域連携(1) 今後、様々な理由で各地のスタンプ(カード)会が統合・合併の方向に向かうでしょう。その際、ネックとなるのは小規模の会の出したスタンプ(ポイント)が、大規模の会に吸い上げられるという思い込みです。そこで、筆者は合併話の前に「まず、合同事業を実施して、消費者の反応(動き)を見極め、かつ、事業への取り組み姿勢のレベルを合わせること」を勧めています。その期間中、それぞれのスタンプ台紙や満点カード等の相互利用可能とすると、小規模の会の加盟店が隣接する大規模の会の台紙や満点カードを多く回収し、その逆は極めて少ないことがわかります。これは、後で考えれば当然のことで、小規模の会のある町の住民は隣接する大規模の会のポイントをためているが、大規模の会のある町の住民は隣町の小規模のスタンプは集めていない。そして、ためたものが地元でも使えるとなると、このような結果になるのです。  
スタンプ(カード)事業の広域連携(2) スタンプ(カード)事業は「地域間競争」という意図で「地域限定」の考え方が支配的でした。しかし、昨今は隣町に買物に行っても、そこの大型店等で買物はするが、一般商店での買物は少ない。実情は隣接する市町村において、地域の商店同士の競合は極めて少なくなっているのです。それならば、近隣の複数の組織が統合・合併して事業展開するスケールメリットを優先させるべきです。そこで、もう一度「スタンプの特性」を冷静に見直してみると、それは「組織的に実施するスケールメリットと同時に個店独自の対応ができる」ということに尽きます。「個店独自」とは、全体ではやってないが、自店の事情で独自に倍セールや倍出し回収等の販促企画を実施することです。この個店独自を地区独自と置き換えてみると明確ですが、事業統合しても全体のスケールメリットを地域(町内・商店街)単位で独自に活かすことができます。このように、たとえ「消費者の行き来がない」位置関係であっても、スケールメリットを地区独自に活用できるのです。

店舗・会社情報

店舗(企業)名 地域商業研究所(金尾俊郎/金尾敏郎改め)
ふりがな ちいきしょうぎょうけんきゅうしょ
カテゴリー コンサル・士業・専門家
商店街
所在地 811-1302
福岡市南区井尻3-16-5-812
電話番号 09087695304
代表者 金尾俊郎
設立(創業)年月日 1992-01
紹介文 地域や企業のポイント制(スタンプ・シールやポイントカード)の再構築、および再生が専門。ポイント制・商品券・地域通貨等による地域循環型経済を目指す。
ホームページURL https://www.facebook.com/kanao10/info
メールアドレス kanaot10@gmail.com