2. 2021年9月13日更新 モウさんの社長指南213 「突破口」作戦 岩盤を砕く

モウさんの社長指(213



「突破口」作戦 岩盤を砕く

 

 


元気企業づくりの処方箋


自社の長所と弱点を認識して、近未来を予見し方向付けを明確にする。そのターゲットに自社の持てる経営資源を総動員して一点に集中し、現状を打破する「突破口」作戦を展開する。醸造を手がけるA社の取り組み事例について具体的に述べたい。人口減少の影響は、醸造業界にも及んでおり、市場は一年で3%縮小している。A社の現状は、メイン商品が水面下に低迷する一方、同関連商品は、1割伸びていた。メイン商品一個の平均単価は340円で、年売上高は9億16百万円。同関連商品の年売上高50百万円を加えても9億66百万円にとどまり、何年も10億の厚い壁を突破できていない。そこでメイン商品を2%強、関連商品を3割、売り上げを伸ばし、前年比34百万円増を達成する「3・4GO(さんしごう」作戦」を提案。作戦名は語呂合わせで覚えやすくした。作戦の条件は安売りをしない。安売りをすればその分捌かねばならなくなり、結果的に体力の弱体化を招きかねない。付加価値を高め客単価を上げることが出来れば、GMSや商店も利益の恩恵にあずかれるので良しとする筈。高付加価値化にシフトするチャンスにもなる。営業の基本「商品に惚れよ」を実践できれば営業員の自信につながる。長い間10億の壁が突破できず、諦めとマンネリ体質が蔓延していた。そこで作戦の推進組織を立ち上げた。作戦本部長に社長を、補佐役の副本部長には常務、推進隊長として、各営業所長と工場長、総務部長を当てる。推進隊員は各部署の社員で、その配下にパートタイマーを置く。筆者は本部長相談役として推進方法等を逐次指導。推進隊長は隊員をまとめるため必要に応じて打合せを行う。目標を達成した暁には、全員に作戦名にあるようにひとり5万円(総額5百万円)報奨金支給社長にご英断いただいた。増収分34百万円に占める労働分配率は26.7%だから出せると踏んだのだ。やる気に満ちた社風に変えるには、ギァチェンジとガソリンが必須だからだ。同社では三方良しの前に、まず会社と従業員の二方良しから始めた。早速全社員を集めて趣旨を説明し、一致団結の場「決起大会」を開催し、同時にDX推進の理解を求めた。「これだったらやれるのでは!」と、皆の目の色が変わった瞬間だった。あの輝きは今でも忘れられない。

営業員は日常活動の延長ながら、積極的な活動に転じ、ネット販売や間接部員の支援にも力を尽くしていた。これまで責任転嫁していた製造部門と販売部門が協力するようになるなど、明るく元気になった。新規の営業情報が7倍となり、成約も増加していった。全員の理解と協力の結果、「3・4GO作戦」は目標を大きく上回った。単価もアップし大成功を収めた。成績発表では、隊長も隊員も表彰と賞金授与で喜びに沸き返り、笑顔と拍手で余韻に浸っていた。    

今後も、閉塞感と岩盤を打ち砕く「突破口」作戦を、社内革新推進の経営戦略として中小企業に提案していきたい。